2015年3月27日金曜日

言わないから、分かって・・

お読みいただき、ありがとうございます!
半農ヴァイオリニストKaoriです。www.animaconcordia.com



春うらら、梅をひとしきり愉しんだ後は・・

じゃじゃーん






スイセン(ラッパズイセン)真っ盛りですね〜☆


スイセンというと、ギリシャ神話で出てくるナルキッソスにちなんだ花。
ナルシスト、っていうじゃないですか?
あれです。(英語だと、文字通りナルシス、と呼ばれています)


ナルキッソスはとても美しい青年。
森の妖精達が恋心を寄せるのですが、
彼は、つれなくも妖精たちを拒みます。


「神に対する侮辱だー!」

と怒った女神ネメシスは

ナルキッソスに魔法をかけ、自分しか愛せないようにしてしまう・・

ナルキッソスは水面に写った自分の姿に恋をし、
その人に触れることもできず、
ただただ、
水面に写る自分を眺めながら死んでいってしまう・・・というお話。



カラヴァッジョ「ナルキッソス」

ナルキッソスの亡くなった水辺に咲いていたのがスイセンなのだそうですが、

こうしてちょっとうつむく姿・・・




水辺を眺め続けるナルキッソスのようだ、
ということで、彼にちなむ花とされています。
ですから、花言葉は

自己愛。

ナルキッソスがかかった魔法はごめんだけれど、

様々な転機が訪れ、何かと忙しくなるこの季節、

自分に向き合い
そして自分を大事にする。
そんなひと時を今一度、持ちましょうよ

っと言って咲いてくれているのかもしれませんね。



さて、言葉なき花のメッセージと同じなのが、
絵画の世界。


いきなりですが、この絵・・・

どんな感覚を覚えますか・・?



ブロンツィーノ 愛の寓意


ロンドンに滞在していた時、ナショナルギャラリーで
その迫力と艶っぽさ、鮮やかさに圧倒され、
自宅に飾っていた(もちろん本物じゃありませんよ!笑)絵です。

ところが、毎日眺めていると、

喜ばしい場面なのか、
それとも実は怪しい絵なのか、

見れば見るほど、分からない
とっても不気味、
しかしなんとも言えない艶やかさに惹かれてしまう。

とても不思議な感触でおりました。

先日、中野京子さんの著書「怖い絵」を読んでいましたら、
この絵が取り上げられていました。

作家でもある中野さんならではの文章力が、
絵画を至近距離で、生々しく感じさせてくれるので


あえて私は詳しくここで書きませんが、

この絵のタイトル「愛の寓意」とは・・

寓意の意味を辞書で調べますと、

ある意味を、直接には表さず、
別の物事に託して表すこと。

つまり、
私、言わないから。
分かって・・

ということ。

知る人ぞ知る
あなたなら分かるわよね・・・(ニヤリ)?

といったところでしょうか。

かなり試されている感ありますが、
実はこの寓意、
バロックの時代は流行っていたのでございます。
(そいでもって、音楽はもちろん格好の材料だったわけ!)

謎・・
分からないからこそ、
自分の感覚を研ぎすませて
内側に入っていくことができる

そーんな時間をくれるのがアートなんですね♡


どうでもいいんですが、
ブロンツィーノの絵右上の「時の翁」と解釈されている髭の老人、

古楽界のパパである彼にそっくり・・・笑


ヴィーラント・クイケン