2016年1月29日金曜日

テレマン 「コオロギ」

巷ではインフルエンザが流行りだし、ちなみに今もみぞれが降っていて冬本格的だが、一方日中の光はどこか季節の変化を見せるようになって、ワクワクする。

ワクワクするのにオススメなのがテレマンの管弦楽曲「コオロギ」
Grillen Symphonie( Crickets symphony)

普段は表舞台にさほど出てこないコントラバスや、クラリネットの化身であるシャリュモーなどを用いて、コオロギの描写に近づいているところをみると、音のパレット使いが天才というのか、匠そのもの!

特にシャリュモーを他の楽器の音色と合わせてまた特別な音色を創り出しているところなどは、絵の具の色を混ぜ合わせていくような楽しい作業だろう。


ウチの畑でも暖かくなると、そこら中でびょんびょん飛び回るようになるが、登場する5月あたりはまだまだ羽の摩れる音だけでお粗末さま。
それが秋に向かうにつれだんだんとうまくなっていくのを聴くのがなんだか嬉しい笑。

上手いのやら、下手のやらが混ざって歌う。そしてゴキブリじゃないか?っと一瞬ギョッとする大きさでびょんびょん飛びまくり、時には柔らかい芽を豪快に食べてくれてしまう姿を、テレマンは見事に描いているなあ、と感心してしまう。

バッハと親交が深かった彼、とてもジョーク好きだったと伝わっているが、この作品に表れた愉快さは聴く人をワクワクな気分にしてくれる。

2016年1月27日水曜日

テレマン ガリバー組曲

子供の頃に読んだ「ガリヴァー旅行記」(スウィフト著)。
いまでこそ子供向けのお話とされているけれど、実は
出版された当時(完全版1735年)のイギリスを批判している風刺文学で、
最高の政治学入門書と認識されているらしい。

かなりの評判を呼んで、初版は1週間で売り切れてしまったとか。

それから250年たった今、アウトリーチにいった小学校では、
1割に満たない子供しかこの本を読んでいないようだけれど、

でもやっぱり本屋に行けば必ず売っているし、
250年のロングラン、と思うとかなりすごいことだなあ ・・笑。

ちなみに、ジブリ「天空の城ラピュタ」のラピュタも
もともとはガリヴァー旅行記で描かれた島だし、

知らない人がいない Yahoo(ヤフー)という名前も
ガリヴァー旅行記に描かれたキャラクターの名前。

まあとにかく、今の今まで世界に残るほどのセンセーションを巻き起こした、ってわけで、テレマンのような作曲家が題材に取り上げたのも、
今でいう、ヒットした映画の音楽を、あとから出版するような感覚だったかもしれない。

そういうと、例えば先に挙げたジブリ作品にしたって、
感動した映画の音楽を聴くと、画像までがくっきりと思い出されたりして、
イメージと音のつながりって、かなりダイレクトにつながってくるもの。
まあ、五感のどれもそうだと思うけれど。

今日は子供達に、ガリヴァーが訪ねた不思議な国をそれぞれかいつまんで読みながら、
音楽を聴いてもらったのだけれど、
私自身、どちらの作品も活かせなかったような感覚が残った。

本当にイメージを音の描写から「観る」という感覚を楽しむには、
ガリヴァーとともに訪ねたくらいの想像体験をしていたら、
音自体も、もっともっと感覚的に生きてくるんだろうなあ。

想像する。
それを音に創りかえてまた想像する。
ラッキーな私たちが与えられた「想像力」。
この楽しみが、今も、そして250年後もまた、
ますます力をましてロングランとなりますように・・。