「今思えば、殺して標本にするんだから、残酷なことしてたよなー」
という彼に、何がそんなに魅力だったのか尋ねると、やはり「美しさ」だったと。
以前観た「天国の青い蝶」という映画、
世界で一番美しい蝶といわれているブルーモルフォを
死ぬ前に見届けようとした子の話なんですが、
蝶の妖艶さが、映画に超常的な印象を加えていたのをよく覚えています。
フランソワ・ジェラール『クピドとプシュケ』1798年 ルーブル美術館 |
この絵も、やっぱり蝶が何とも言えない印象付けをしていますよね。
どうしても、蝶に目がいってしまう。
この絵のお話は、クピド(キューピッド)がプシュケという少女に恋をしたお話。
(ギリシャ神話らしい、紆余曲折がありますので、詳しい話を知りたい方は、
↓こちらのブログで書いてくださった物がとても分かりやすいです。)
http://sanmarie.me/eros_psyche/
プシュケというのは、
ギリシャ語では「息」とか「魂」とかという意味で、このお話、
魂(プシュケ)は愛(キューピッド)をもとめる❤
という主題で流行っていたんですって。
じゃあ、そこに蝶とは・・・?
蝶って、魂の象徴だったそうです。
プシュケ(人間)とキューピッド(神)の恋物語なんですが、
プシュケはキューピッドとの愛のために
様々な苦をのりこえて、
最後神体を授かるそうなんですが、
その時に、蝶の羽が生えたそうです。
幼虫からさなぎになって、成虫になる、という、
成長の段階が象徴となって、
プシュケの話と重なったのでしょう。
ちなみに、めでたく結ばれたプシュケとクピドは
「悦び」という名の女の子を授かるそうです。
魂+愛=悦び
いい図式ですね〜❤
イエスと蝶も一緒に描かれることがあるそうです。
幼虫(生)– さなぎ(死)– 成虫(復活)
ということだそうです。
そんなことを知ると、
「ほお〜」
っと思って楽しいですね。
(もっといろいろ知りたい方にオススメ本↓)
モチーフで読む美術史 (ちくま文庫)
やっぱりこの絵を観た時、
蝶のモチーフがなんとなく心に残りますよね。
この蝶があることで、
全体の雰囲気の中に
色っぽい豊かさが増しているのは明らか。
だから、たとえ知らなくても、
感じている自分はいる、ということ。
知ってても知らなくてもいい。
感受している自分を探すこと、
なのかもしれません。
音楽でも、物語を音で描写している作品がたくさんありますよね。
どのくらい伝わるんだろう?
ということがすごく知りたい私は、
作品の名前だけ伝えるにとどめて、
(例えば、ビーバー作曲ロザリオのソナタより「受胎告知」https://youtu.be/sIl4SNjHiyI
良かったら想像力、試してみてください・・。)
「この情景読めます?」
と聴く方がたに尋ねたりしたこともあるのですが、
それぞれに物語が浮かぶようです。
「じゃあ、物語が設定されていない曲はどうなるの・・・?」
ということになるんですが、
その物語を、聴きながら自分で創る、
というのが、これまた楽しい鑑賞になるんですよねー。
観る、聴く・・
感受する側も一緒に創造できるのが
芸術なんですね。