2016年5月26日木曜日

バッ!・ロック!

以前にも書きましたが
バロック時代というのは、ルネッサンスという大イベントの延長線上にあります。
ルネッサンスとは何かというと、
心の成長でいう「自我の目覚め」ではないかと感じます。

それまでの時代は、すべて神。
その下に生きる人間は、罪を犯し楽園を追い出されたもの。
神への畏敬、むしろ恐れの方が強いような心境の中に
生きていたのではないかと感じます。

美術でみると、中世は宗教絵画一色。描き方もとても禁欲的です。
音楽でも、神に捧げるものとして、不協に響く和音を使うことは許されませんでした。

そこから一気に開花するルネッサンスという大イベント。

こんな「おいら」もまんざらじゃないぜ
え〜じゃないか、え〜じゃないか、え〜じゃないか!

というノリです笑。


赤ちゃんの成長における「自我の芽生え」として言われるのは
「あれがしたい、これがしたい」の欲求。

欲求が出ることの背景には、
自己の価値を認める
「自覚」が背景にありますよね。

ルネッサン スに起こったことというのは
我ら人間にも輝きが備わっているじゃないか、
ということの感得ではないでしょうか。

その「個性」に対する圧倒的な興味
そして、自我に目覚めた瞬間の喜びが溢れている時代だと感じます。

自分に内在する神を見出す、くらいの心の勢いがあったかもしれませんね。
それがどう映し出されたかは別として。

心の痛みの表現などは、
音楽の場合「短調」が用いられますが、
バロック音楽の短調の作品の中に
私はいわゆる「暗さ」を感じません。
むしろ、心の痛みを「ドラマ」という形に置き換えて
「表現できる」ということに対する
爆発的な喜びさえ感じます。

「人生は舞台
人は役者」

というシェークスピアの言葉にも
その舞台に起こる全てのドラマを
皆で味わい楽しもうじゃないか

というメッセージが含まれているように思います。

人間のはじけるような感情、
「感じることのできる力」と
私は言いたいですが、
感じようじゃないか、表現しちゃおうじゃないか!
そんな自己肯定感の中の喜びの音楽

3世紀にも隔たりますが、
これから私たちに必要とされる感性に
共振してくるものがあるような気がします。