2016年5月24日火曜日

ロカテッリ コンチェルト・グロッソ作品1 第6番 第一楽章 ハ短調

片恋のこの想い、
世界中に打ち明けたくて居ても立ってもいられず、
突き上げる気持ちは喉までかかり、
なのに、この熱くなった喉元に風を通すことすら出来ず、
ただただ燃える気持ちを飲み込む。

ロカテッリのこの曲を聴いたなら、
そんな気持ちと思わず共振してしまうのではないでしょうか。

釘をうちつけるようにたたかれる冒頭の四つの短調の音。
報われない恋であることを象徴するかのよう。

しかしその頑な音からはりさけるように、ヴァイオリンの歌がはじまる。

メロディーは、いつもならカデンツァ(ドミナント→トニックの和声進行)をもって、そのフレーズを完了するものだが、このメロディーでは終結を嫌うかのように
カデンツァを避ける。
どうしても決着のつかない気持ちが
ゆらゆらと揺れ動くようだ。

装飾を持って紬ぎ出される歌の背後に浮き上がるのは、
「ド-シ♭-ラ♭-ソ」とうつむく下降の音型。
やはりそこに、
報われない運命が示されてしまっているのか・・。

我慢しきれなくなったかのように、
そのメロディーをとうとう低弦が歌いだす時には、
切なさが極まり心臓が痛む程だ。

メロディーの後ろで刻まれる八分音符は、
心臓を射止める(あるいは突き刺す?)
矢のよう。

恋を覚え始めた思春期に、
布団をかぶってオフコースに聴き入り(こういうとおおよその世代がバレてしまいますね笑)、恋心にどっぷり浸かったのを思い出します。
聴き入った音楽が何であれ、
みなさんにも同じような経験をお持ちなのではないでしょうか。

このコンチェルト・グロッソを聴くと、
なぜだかそんな激しく溌剌とした力がみなぎっていたあの頃を思い出します。

不思議なことに、ロカテッリがこの作品を書き上げたのは
250年以上も前になるというのに、
感情の噴火が今にも起こるような気分にさせられる・・。
オフコースを卒業した今でも
オフコースの代替えで
充分いけるではないか!♡

実に音楽というのは、
時間を通り越して「今」の音となりうるものなのだ、
そんな事実に嬉しくなる。

激しく揺れる感情を味わえるのが人間の醍醐味、
心若返る「ロカテッリ作コンチェルト・グロッソ」、
是非お試しあれ!