2016年5月23日月曜日

襟を正す

ブラジルでは、文化省が閉鎖されるというニュースでアーティスト、ミュージシャンをはじめ、あらゆる人々が抗議の旗を掲げています。

ヨーロッパでは、ヨーロッパユニオンユースオーケストラを閉鎖するというニュースに、若いミュージシャンたちはロンドンのフェスティヴァルホールの前に集まり、ベートーヴェンの第九を演奏しながら抗議をしました。

文化活動の縮小、これは世界的なレベルでの意識の流れを感じます。
経済的な問題であったり、解決しきれない争いがあったり、その問題が頂点に達してきているような段階にあり、文化に心を向けているような状況ではない、というのが本音なのかもしれません。

しかし、 このような時代こそ、文化に感化できるような「感性」が必要になってくると感じます。
それは、「つながる」という感受性を与えてくれるからです。
「気づき」という感性を与えてくれるからです。
「感動」という、心を開く術も教えてくれるからです。

インターネットの普及で文化全般において、個人の楽しみ方が劇的に変化しました。
それはそれで、ありがたい恩恵がたくさんあると思います。

ミュージシャンという立場から見ると、その変化をしっかりと受け止めつつ、
音楽という、「楽」の本質をどうやってこれからきちんと伝えていけるのか、
ということを真剣に考えなくてはならなくなってきた。
本質にもう一度向き合うための、大切な転換点として受け止めたいものです。

襟を正す。そんな気持ちでいます。